2007年7月28日土曜日

『北越雪譜(せっぷ)』の鈴木牧之(ぼくし)

  • 夏用のスーツをもとめたら越後製でした。
  • 越後上布は、雪が作り出します。
    布を雪さらしにすると、オゾンによる漂白作用で、独特の風合いが加わります。
    重要無形文化財の越後上布の技法で、塩沢紬(つむぎ)小千谷縮(ちぢみ)十日町絣(かすり)がつくられます。

    これらは豪雪地帯の宿命を逆手にとり、気力で名産品に仕立て上げられました。
  • 鈴木牧之(ぼくし)はのべました。
    「雪中に糸をなし、雪中に織り、雪水に濯(そそ)ぎ、雪上に晒(さら)す。雪ありて縮(ちぢみ)あり。されば越後縮(ちぢみ)は、雪と人と気力相半ばして名産の名あり。魚沼郡の雪は縮の親というべし。」(『北越雪譜』)
  • 鈴木牧之(ぼくし)の『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』は、雪国の暮らしを最初に紹介した貴重な文献です。
    江戸に出向いた牧之(ぼくし)は、江戸の人々が越後の雪の多さを知らないことに驚き、雪を主題とした随筆で地元を紹介しようと執筆をはじめました。
  • 『北越雪譜』は、雪の結晶、雪国の風俗、暮らし、方言、産業などの諸相を、挿絵も交えて雪国の宿命を詳細に記した一種の雪国百科です。1837年に出版されるとベストセラーとなりました。
  • 牧之(ぼくし)は、文筆だけでなく、俳句を好み、絵をものし、書にも堪能でした。
    一茶との交流もありました。
    南魚沼市塩沢【中越の地図】で家業の縮の商いでも成功を収めました。
    また貧民の救済も行いました。
  • その昔、この塩沢紬(つむぎ)や小千谷縮(ちぢみ)、十日町絣(かすり)などの越後上布を集めて、全国にシアワセを配給した拠点が、いま地震でお困りの柏崎でした。


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