現代アートで交流の場、長岡で倉庫改築したギャラリーが人気
(2008年1月10日 読売新聞)
長岡市呉服町で、民家の倉庫を改装して開設されたギャラリー「mu―an」が、昨年9月のオープン以来、市民の憩いの場として人気を集めている。 画家の立見迪子さん(61)が、同市内で現代アート発信の場となっていた画廊がなくなるのを惜しんで開いたギャラリー。立見さんは「小さな芸術の芽が育っ ていく場所にしたい」と意気込んでいる。
「mu―an」は、同市東坂之上町の画廊「dot ONE」が、市の市街地再開発事業のあおりで立ち退きを迫られ、閉廊が決まったことがオープンのきっかけとなった。
画廊は、立見さんら現代アートの作家にとって、作品を発表する場を提供してくれ、天井や床も自由奔放に使うことができた、思い出の場所。立見さん が「なくなるのは寂しい」と、画廊のオーナーに、自宅の倉庫を利用してはどうかと持ちかけたところ、逆に「あなたがやってみたらどうか」と勧められた。
旧長岡市は、日本でも早い時期から現代アート作品を積極的に展示してきたという土地柄。現代アートという新しい芸術のジャンルが国内で足場を固めていくのに街も貢献してきた。
立見さん自身も高校生時代、長岡を訪れた岡本太郎に感銘を受けた経験がある。そんな当時の自分と同じように、芸術家を目指す若者たちが作品を展示できる場所を残したいと、熟考の末、ギャラリーのオープンを決めた。
約40平方メートルのコンクリート造りの倉庫を改装し、地面には板床を張った。仲間のアドバイスを受けて、壁や天井は「作品が主役として映えるように」と、白で統一。屋外にも作品を展示できるよう庭木も整備し、テラスも設置した。
非日常的な空間の中でも「ホッと一息つける」ようにと考え、ギャラリーの一角に6席分のカフェスペースも設けた。
オープン以来、国内外で活躍する現代アートの作家たちの個展が開かれて、毎回約500人が訪れている。立見さんは「作品を通じて様々な人とアートが出会う場所にしたい」と話している。問い合わせは同ギャラリー(0258・33・1900)まで。